江別の秋に響く琴の調べ ― 大正琴フェスティバル2025開催レポート | 音楽工房ToToとまと

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江別の秋に響く琴の調べ ― 大正琴フェスティバル2025開催レポート

先日の10月26日、江別市にある「えぽあホール」にて、【大正琴フェスティバル】が開催されました。

朝からいつ雨が落ちてきてもいいような曇天の空でしたが、

会場の前には出演者たちの笑顔と緊張が入り混じった空気が漂っていました。

このイベントは、毎年秋に行われる大正琴愛好家たちの一大ステージ。

客席にはご家族や友人、そして長年この音を愛してきた方々が集まり、

ホール全体がまるで“ひとつの楽器”のような温りに包まれていました。

流派を越えて集う、音の輪

大正琴と一口に言っても、実はさまざまな流派が存在します。

演奏スタイル、音の響かせ方、譜面の書き方まで、

それぞれに歴史と個性があり、普段は同じステージに立つことはほとんどありません。

そんな中、「大正琴フェスティバル」は、流派の垣根を越えて交流できる、数少ない特別な場です。

お互いに流派は違っても、みんな“琴を愛する心”でつながっている。

そんな思いがステージ上の空気をやわらかく包み込み、

聴く人の心にも静かに染みわたっていくようでした。


コロナ禍を乗り越えて ― 今年は3派閥4サークルが出演

数年前までは、このフェスティバルに6を超えるサークルが出演していました。

しかし、コロナ禍をきっかけに活動が難しくなり、練習会や発表の場が減少。

それでも音楽への情熱を失わず、地道に活動を続けてきたグループが今年も、

再びステージに戻ってきてくれました。

今年度は3つの流派から4つのサークルが出演。

それぞれが大切にしてきた音色を胸に、堂々とステージに立つ姿は、

まるで再会の喜びを音で表現しているかのようでした。

同じ楽器でも、奏者によって音の表情がこんなにも違うのかと、

改めて大正琴の奥深さを感じるひとときでした。


私はPA(音響係)として前日から準備を

実は今回、私はPA(音響係)として、この催しに関わっていました。

出演者が心おきなく演奏できるよう、前日からえぽあホールに入り、

配線の仕込みや会場のセッティングを行いました。

大正琴の音は繊細で、音量のバランスで印象が大きく変わります。

リハーサルでは、各サークルの代表の方と相談しながら、

「この曲はもう少しやわらかく」「このメロディは前に出して」と、微調整を繰り返しました。

ステージ上でみんなが奏でている“琴の余韻”をきれいに客席へ届けるために、

PAとしても自然と気持ちが引き締まりました。


琴の音が語る、懐かしさとぬくもり

いざ本番が始まると、ホールいっぱいにやさしい琴の音が広がりました。

演奏曲は童謡から昭和の名曲、さらにはアレンジを加えたポップスまで幅広く、

どの曲にも演奏者の想いが込められていました。

客席では自然と手拍子が起こり、曲が終わるたびにあたたかな拍手が響きます。

長年大正琴に親しんできた方の指先からこぼれる音には、

言葉にできない“人生の味わい”がありました。

年齢や経験を超えて、ただ音で語り合う――そんな美しい時間が流れていました。


音でつながる、人の輪をこれからも

今年のフェスティバルは、派手さこそありませんが、

一つひとつの音に誠実さと温もりがありました。

コロナ禍を経て、またこうして舞台に立てること。

そして、その音を支える裏方として参加できたこと。

PAとしての立場からも、音楽が人と人をつなぐ力を改めて感じた一日でした。

大正琴に親しむ人が年々少なくなっているのは、本当に惜しいことだと思います。

あのやわらかく澄んだ音色、そして仲間と一緒に一曲を作り上げる喜び――

どれも、一度体験すれば忘れられない魅力があるのに、

次の世代にその楽しさがうまく伝わっていないのが現状です。

だからこそ、こうしたフェスティバルの場が、

あらためて大正琴の美しさを感じてもらえるきっかけになればと願っています。

【山腰エレクトーンピアノ教室】
江別市上江別西町28-16

【パーカッション教室(大麻教室)】
江別市大麻東町15-7(東町ニュープラザ内)